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予防歯科

歯石がとれる歯磨き粉はある?正しいケアと予防法について

「歯石がポロっと取れる歯磨き粉ってないの?」
「歯石取りって、歯医者に行かないとダメ?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
ドラッグストアなどで「歯石に効く」と謳われる歯磨き粉を見かけることもありますが、結論から言うと、歯磨き粉だけで固まってしまった歯石を取り除くことはできません。
歯石とは、歯垢が唾液中のミネラルと結びついて石のように硬くなったもの。一度できてしまうと歯磨きでは落とせないのです。
しかし、歯石になる前の歯垢(プラーク)をしっかりとケアすることで、歯石の沈着を予防することはできます。
この記事では、歯磨き粉で歯石が取れない理由やできてしまった歯石の対処法について解説します。

歯石がとれる歯磨き粉はある?

結論から言うと、歯磨き粉だけで歯石を取り除くことはできません。
一般的な歯磨き粉には、歯の表面をきれいにしたり、虫歯や歯周病を予防したりするための以下のような成分が含まれています。

  • 清掃剤(研磨剤):歯の表面を傷つけずに食べかすや歯垢(プラーク)、ステイン(着色汚れ)などの汚れを物理的に落とします。
  • 発泡剤:歯磨き粉をお口全体に広げ、汚れを洗い流します。
  • 香味剤:爽快感や香りを加えます。
  • 薬用成分(フッ化物、抗炎症剤、殺菌剤など):虫歯の進行を抑えたり、歯ぐきの炎症を和らげたり、細菌の増殖を抑制したりする働きをします。

これらを見てわかるように、歯石を分解したり、溶かしたりするような成分は含まれていないのです。
そもそも歯石とは、歯の表面に付着したプラークが、唾液に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分と結びついて石灰化したものです。これによって、歯石は石のように硬くなり、歯の表面に強力にこびり付きます。一度できてしまった歯石は、毎日の歯磨きでは落としきれません。
お風呂場の鏡や蛇口に付着した白い水垢を想像してみてください。軽い水垢ならスポンジでこすれば落ちますが、長期間放置して固まってしまったものは、洗剤を吹きかけておくだけではなかなか取れず、専用のクリーナーを使ったり、力を入れてこすったりする必要がありますよね。歯石もこれと似ており、歯ブラシをスポンジ、歯磨き粉を洗剤に例えるならば、歯石はそれだけでは落とせないほど頑固な汚れなのです。
特に歯石は、歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間や歯周ポケット、歯の裏側などに形成されやすいため、ご自身でのケアだけでは除去が困難になります。できてしまった歯石は、歯科医院で行う歯石取り(クリーニング)が必要です。

歯石になる前の歯垢をケアすることが大切

歯垢とは、食べ物の残りカスなどを栄養源として細菌が繁殖し、白くネバネバした塊となったもので、その中には多くの細菌が存在しています。
歯石は細菌の活動性が低下し、石化した塊で直接影響を与えるわけではありません。問題はその表面の性質にあります。歯石の表面はザラザラと粗いため、新たな歯垢が付着しやすくなるのです。この付着した歯垢がまた石灰化し、気づいた時には広範囲に広がっていることも少なくありません。
歯垢は約24時間で形成され始め、約48時間程度で初期の歯石に変化すると言われています。そのため、歯石の元となる歯垢をしっかり取り除くことが基本的な対策です。以下のセルフケアのポイントを参考に、丁寧なケアを心がけましょう。

  • 歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目や歯の溝にきちんと当て、1本1本丁寧に磨く
  • デンタルフロスや歯間ブラシを毎日使用し、歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間の歯垢をしっかり取り除く

また、糖分の多い飲食物は、虫歯や歯周病の原因となる細菌の栄養源となります。摂取回数や量に注意し、だらだら食べをしないことも歯垢のコントロールにつながります。

歯石は歯科医院でとってもらいましょう

どれだけ丁寧にセルフケアを行っていても、完全に歯垢の付着を防ぐことは難しく、歯石ができてしまうことがあります。また、日々のケアを頑張っていても唾液の質や量、歯並びなどによって歯石がつきやすい方と、そうでない方がいらっしゃるのも事実です。
できてしまった歯石を、市販されている歯石取りを使って取り除こうと考えている方もいるかもしれません。しかし、専門的な知識や技術がないまま行うと、歯ぐきや歯の表面を誤って傷つけてしまう恐れがあります。その結果、炎症を引き起こしたり、かえって歯の表面がザラザラになり歯石が付きやすくなったりする可能性も考えられます。

歯石の除去は、お口の状態や歯周組織に関する知識と技術が求められる医療処置です。そのため、歯石は歯科医院でとってもらいましょう。
歯石除去には、主に保険診療と自費診療の2つの選択肢があります。保険診療の場合、まず歯周病の検査を行い、その診断に基づいて治療計画が立てられます。そのため、一度の来院ですべての歯石を取り除くのではなく、お口の状態を確認しながら2~6回にわけて行うのが一般的です。費用は、1回あたり2,000円から3,000円程度が目安です。
一方、自費診療は、時間をかけた丁寧な歯石除去はもちろん、歯の着色除去や、歯面を滑らかにするトリートメントなど、幅広いメニューの中からケアを受けることが可能です。費用は施術内容や歯科医院によって異なり、5,000円~10,000円程度と幅があります。

まとめ

歯石は、歯磨き粉だけで取り除くことはできません。歯石は歯垢が石灰化して硬くなったものであり、一度付着すると歯ブラシの力では落とせなくなります。
歯石を防ぐためには、原因となる「歯垢」を取り除くことです。形成されて硬くなる前にしっかりと除去することが大切です。
もし歯石ができてしまった場合は、自分で無理に取ろうとせず、必ず歯科医院を受診してください。保険診療での歯石除去も可能ですので、まずはかかりつけの歯科医師に相談しましょう。