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精密治療

歯科コラム

インプラント治療後のケアは必要?自宅や歯科医院で行うお手入れ方法について解説

歯を失った際の治療方法は、主にインプラント・ブリッジ・入れ歯が挙げられます。中でもインプラントは見た目が良く、自分の歯のように噛めることから選ぶ方も多くなってきています。しかし、インプラントは「入れたら終わり」ではなく、入れた後のケアが非常に大切になります。この記事では自宅や歯科医院で行うインプラントのケアについて紹介します。

 

自宅でできるインプラントのケアについて

インプラントは頭が大きく、足が細い形態をしているため、人工歯と歯ぐきの境目は歯ブラシが届きにくくなっています。そのため、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシなどの補助的清掃用具も併用し、天然歯よりも丁寧に磨く必要があります。とはいえ、どのようにケアして良いのかわからない方もいるでしょう。ここでは自宅でできるインプラントのケアを道具別に紹介します。

 

歯ブラシ

セルフケアの基本は歯磨きです。インプラント周辺の粘膜は傷がつきやすいため、毛先がやわらかい歯ブラシを選びましょう。親指・人差し指・中指の3本の指で歯ブラシを持ち、力を入れずに細かく振動させて磨きます。力が入ると毛先が広がり、磨き残しが多発したり、歯ぐきを傷つけたりする可能性があるため注意が必要です。

 

歯間ブラシ

歯間ブラシは歯とインプラントのすき間や、インプラント同士のすき間の汚れを除去するのに適しています。適切なサイズの歯間ブラシをゆっくりすき間に挿入して、前後に2~3回動かして使用します。歯間ブラシが入りづらい部分は無理に挿入すると歯ぐきを傷つけてしまう可能性があるため注意が必要です。初めて使用する方は、小さいサイズから試してすき間に合うサイズを選択しましょう。適切なサイズがわからない場合は、歯科医師または歯科衛生士に相談することをおすすめします。

 

デンタルフロス

デンタルフロスとは、歯と歯の間を清掃する細いナイロン繊維です。歯と歯の間にあてて、のこぎりを引くように揺らしながらゆっくりと下げます。インプラントの場合は、人工歯の底までフロスを沿わせて掻き出すようにすると、汚れをしっかり除去することができます。

デンタルフロスには、糸巻きタイプのものと、ホルダータイプのものがあります。糸巻きタイプは慣れが必要になりますが、ホルダータイプは初めての方でも扱いやすいです。使い方がわからなければ、歯科医師または歯科衛生士が指導してくれるので、相談してみましょう。

 

タフトブラシ

タフトブラシとは毛束が1つになっている歯ブラシのことです。歯ブラシと同じように親指・人差し指・中指の3本の指でタフトブラシを持ち、インプラント周辺を軽い力で小刻みに動かして磨きましょう。インプラント義歯の場合、義歯を支えているインプラントの周囲を磨きます。

 

洗口剤

歯ブラシでのケアを終えたあとに洗口剤を使用すると、口臭予防や歯面への細菌の付着を抑制する効果が期待できます。洗口剤にはさまざまな種類があり、目的に合った製品を選びましょう。たとえば、洗口剤に含まれている主な成分の一つ、「グルコン酸クロルヘキシジン」は、歯面や歯垢の表面に付着して殺菌効果を発揮します。ただし、洗口剤は汚れを落とす効果はないので、しっかり歯磨きする必要があります。

 

歯科医院で行うインプラントのケアについて

歯科医院で行うインプラントのケアは主に以下のとおり。それぞれどのような処置か具体的に紹介します。

 

インプラントの状態確認

インプラントの状態確認では、歯科医師または歯科衛生士がお口の中をチェックし、インプラントの状態を確認します。

  • インプラントに動揺はないか
  • 歯ぐきに炎症は起きていないか
  • かみ合わせに問題がないか

必要に応じてレントゲン撮影を行い、インプラントを支えている骨の状態を確認することもあります。

 

バイオフィルムの除去(PMTC)

バイオフィルムとは、歯の表面についた歯垢が長時間留まって膜のようになった汚れのことです。バイオフィルムが付着したまま放置すると、天然歯では虫歯・歯周病になるリスクが高まり、インプラントではインプラント周囲炎になるリスクが高まります。バイオフィルムの除去では、歯科医師または歯科衛生士が専用の機械を使って歯の表面を磨きます。

 

歯石除去(スケーリング)

歯の表面に付着した歯垢は、放置すると歯石になります。歯石はインプラントにも付着し、歯ブラシで落とすことはできません。歯科医院では、超音波スケーラーや手用のスケーラーを使用して歯石を除去します。

 

歯磨き指導

インプラントは自宅でのセルフケアが大切です。歯磨き指導では、ご自身でどこが磨けていて、どこが磨けていないかを把握することができ、磨き方の癖に応じた正しい歯磨き方法の説明を受けられます。また、歯間ブラシやフロスなど補助的清掃用具の使い方の説明も受けられるので、気になることやわからないことがあれば気軽に相談しましょう。

 

しっかりケアしなかった場合どうなる?

ケアを怠るとインプラント周囲炎になる可能性があります。インプラント周囲炎とは、インプラント周辺が歯周病になってしまう状態のことです。インプラントのケアを怠ると歯垢や歯石が付着し、その中に生息している細菌が出す毒素によって歯ぐきに炎症を起こします。インプラント周囲炎は歯周病よりも進行が早く、最悪のケースではインプラント周囲の骨が溶けて、インプラントが脱落する可能性もあります。インプラント周囲炎を防ぐには、自宅でのセルフケアと歯科医院での定期的なメインテナンスを受ける必要があります。

 

まとめ

インプラントを維持するためには、ご自身の歯と同様に丁寧なセルフケアと歯科医院でのメインテナンスを受ける必要があります。

インプラントは人工物で神経や血管がないため、インプラント周囲炎になっても自覚症状がなく気づきにくいです。そのため、インプラント周囲の歯ぐきが出血したり、膿が出たりした時には手遅れということも少なくありません。インプラントだけでなく残っている歯を維持するためにも、ケアをしっかり行いましょう。